仙腸関節

仙腸関節は骨盤にある外側の腸骨と中心にある仙骨とを結ぶ関節で左右1つずつあります。この関節は強靭な靭帯により結合され、わずか3-5mmしか動かないと言われています。

しかしこの関節に強い力、例えば尻餅をついたり、前かがみで重いものを持つことにより靭帯を損傷すると、その後より腰痛を含め様々な症状が出てくると考えられています。その理由として靭帯は血流が少なく一度損傷(伸びることをイメージしてください)すると、血流が豊かな筋肉、骨などとは異なり回復が難しいと考えられます。その後仙腸関節が必要以上に不安定に動くことにより状態が悪くなると考えられます。

更に脚の長さがもともと異なる方は、均一に仙腸関節にかからないため、症状は出現しやすいと考えられます。

症状としては臀部痛、下肢のしびれ・痛み以外に重要な事として、傷んだ側(右なら右側)の全身の関節や筋肉のが固くなることが考えられます。

当院に診察に来られる方を拝見すると、骨折、関節リウマチの診断がついた方以外の中では8割くらいが、この仙腸関節が症状に関与していると考えられます。

残念ながら現在の医療ではこの仙腸関節の治療はまだまだ知れ渡っていないため、ほとんどの医療機関では治療が行わてはいません。腰痛、頚部痛、膝痛などの長年の痛みで治療を行っても症状が改善されない人はぜひ一度お越しください

どのような症状におすすめか?

  • 頭痛 (肩こりや背中のはりがある方の)
  • 顎の痛み(一般的な顎関節症といわれるもの)
  • 頸部の痛み(急性の寝違えから慢性まで)
  • 肩から腕への痛み、または肩こり 肩の腫れ
  • 肘の痛み(いわゆるテニス肘や野球肘)
  • 指の痛み(ヘバーデン結節など)
  • 背中の痛み(ズキンズキンとした痛み)、背中のはり
  • 腰痛(ただし仙腸関節が調子悪くても半分くらいの人にしか症状は出ません)
  • 股関節の痛み
  • 太ももやふくらはぎのはり、痛み、痺れ
  • 膝の痛み、腫れ (成長痛といわれるものも)
  • こむらがえり(筋肉が緊張しているため)
  • 足の痛み、腫れ(少しの捻挫、打ち身が1か月以上続く場合)(頻回の成長痛といわれるもの)
  • ガングリオン(ゼリーが貯まる良性の腫瘍) ただし仙腸関節の悪い側

などがありました。

仙腸関節に対して理学療法を行うことのみで症状が改善する方から、追加で痛みの周辺の関節を柔らかくする必要があった方まで、重症度により治療内容は異なります。

実際の症例

代表的な症例を挙げますと

80歳代女性 主訴:腰痛

10年以上前より腰痛があった。腰痛は起床時や長く座ったあとやまたずっと立っていると痛みが出現する。

レントゲンでは側面は省略しますが、こちらは立位の写真です。写真の左側が右足となるように写っています。御覧の通り、骨盤が右側が下がり、左大腿骨の高さが右に比べ高くなっているのがわかります。

診察では仙腸関節の調子が悪いのがわかりました。

治療

仙腸関節に対する理学療法を行い、症状は軽快しました。また右足が短いため、骨盤が傾き仙腸関節に負担がかかりやすいため、その後右足にインソールを作成しました。その後立っているときの痛みも出現しにくくなったようです。

ある程度の脚の長さの差がある場合は、市販のインソールでは対応が難しいため、当院では足形をとりインソールを作成しています。(健康保険で)

-その後の経過-

乗り物などに長く座ると悪化するため、症状が悪化時に治療を継続していました。来院後より半年後に右手4指の第1関節の痛みを訴えました。

その時のレントゲンです。

レントゲンでは両手の第1関節の多くの隙間が減り、いわゆる ヘバーデン結節の状態を示しています。この場合の一般的な治療は塗り薬や痛み止めを塗ることが多いですが、当院ではその原因が関節の固さからくると経験的にわかっているため関節の固さを取り除くため仙腸関節と手の関節の理学療法を行います。実際この患者様はその場で症状は軽快しました。

まだまだ続きます。

手の痛みから約半年後に今度は右肩が上がりずらく、腫れてきたとの訴えで来院されました。

その時のレントゲンです。

 

右肩の関節(上腕骨と肩甲骨)は狭くなっています。また右肩周囲はぷよぷよと腫れ水が溜まっていました。また肩甲骨周囲の筋肉も固く岩のような状態でした。

治療

当初は腫れもあったため、水を抜き強力な炎症止めであるステロイドの注射を行いましたが、たびたび再発したため仙腸関節と肩関節の理学療法を行いました。

翌週には晴れは随分減り(今回は水抜きはしていません)、肩の痛みは軽くなりました。その後2-3回1週おきに治療を行ったところ、症状はすっかり消失しました。

このことより肩の腫れ、痛みも仙腸関節が関係している事がわかります。

 

その後まだまだ続きます。。。

 

肩が良くなった1か月後に右膝が痛くなったとのことで来院。痛みは動き始め、階段を上り下り時に出現します。

同じ右側でしたので、(仙腸関節の調子が悪い側に症状が出やすいため)

レントゲンはとらずに仙腸関節から治療を行い、その場で症状は消失しました。

 

まとめますと、調子が悪い仙腸関節がある側(右なら右半身)に自然と症状(頚部痛、肩痛、膝痛、股関節痛、踵部痛など)が出る場合は、仙腸関節の悪化によって痛みのある関節・筋肉の周囲の固さが出現し腫れ・痛み・痺れの症状が出る可能性があるということです

(レントゲンを掲載するにあたって、患者さんには同意を頂いております。)

治療間隔

若い方は数回の治療で症状は改善し、中には一度の治療で症状が消失される方もいらっしゃいます。

ただし年齢を重ねたり、関節の変形が出現してくると治療しても徐々に戻る傾向があります。そのような方は1週間に1度から2-4週に1度のペースで治療を行っています。ウォーキングやストレッチを毎日される方ほど、治療間隔は長くなる印象ですので、ある程度症状が改善してきたら定期的な運動の習慣を身につけることをお勧めしています。

仙腸関節の治療料金

当院では大部分の理学療法士も同様な治療を行っています。施設基準として運動器リハビリテーション(1)を取得していますので健康保険の範囲で治療は可能です。ただし介護保険を取得されている方に関しては、健康保険上の規制で当院での継続的な治療に限度があります。

また理学療法士の治療で十分効果が上がらない場合、医師が直接治療を行う場合がありますが、その場合時間がかかる治療であるため予約制にしております。その際予約料として2000円をいただいております。この予約料は厚生労働省が定める『選定療養費』となり、全て自費となります。ご了承下さい。

また初診時に医師による仙腸関節の治療を必ず希望される方も予約をお取りください。