スギやヒノキによる花粉症は日本において徐々に増加傾向を認め、日本人の約20-30%の人に花粉症を認めるとの報告もあります。実際私自身も20年前にスギの花粉症が発症し、毎年2月初めから5月のゴールデンウィークになるまで、目のかゆみ・くしゃみ・鼻水・咳に悩まされその間はマスクが手放せなくなります。
そのためその時期は、抗アレルギー薬を飲んだり目薬を使用したりしてなんとかやりすごしますが、毎年早くこのシーズンが過ぎないかと思い、せっかくの春の温かみを心から楽しめない月日を送っていました。
花粉症の舌下免疫療法
2年前から、舌下免疫療法という治療が日本において保険治療で行えるようになり、さらに今年からより簡易に治療が行える錠剤タイプの薬が使用できるようになったため当院でも治療を開始します。
舌下免疫療法とは
アレルギーの原因であるアレルゲンを少しずつ体に慣らし、アレルギー症状を軽くする治療です。海外では1986年に発表され、複数のガイドラインで推奨され2014年から日本で治療が開始されました。
現在治療可能なアレルギーとしては、スギ花粉症、また通年性アレルギーの代表的なものであるダニアレルギー(コナヒョウダニ ヤケヒョウダニ)があります。
治療開始後3か月ほどより徐々に効果が出現し、2年ほどで効果がはっきりします。効果がある方は4-5年の治療をお勧めしています。
現時点での治療効果予測は完治が2割 効果がしっかり出る方が3割 効果がある方が3割 残念ながら効果がない方が1-2割です。
対象年齢
- 5歳以上のスギアレルギーを有する方
- 治療ができない方
- 重症の喘息がある方 重症の心臓疾患がある方 妊娠中の方 非選択的β遮断薬を使用している方
治療の流れ
- まずはスギ花粉症があることを血液検査で確認します(他院の検査でも大丈夫です。結果をお持ちください)
- シダキュア2000を1錠初回のみ院内で投与を行います。(アレルギー反応が出ないか確認します)
- 問題なければ初回も含め1週間シダキュア2000を舌下に内服していただきます。(舌の下に薬を1分間とどめ飲み込む。その後5分はうがい・飲食は禁止)
- 1週間後よりシダキュア5000に内服を変更します。(2019年4月までは発売1年未満であるため、2週間処方となります)
- 1年後に再度血液でアレルギー反応を確認します
舌下免疫療法のよくある質問
- 花粉症の時期は飲み続けますか?
- そのまま飲み続けてもらいます。
- シダキュアを内服しているときには抗アレルギー薬は飲んで良いのですか?
- 症状に応じて内服してください。
- 現在花粉症のシーズンですが、治療を開始できますか?
- 飛散シーズンが終了したら開始します。
- どんな副作用がありますか?
- 最も多いのが、痒み、違和感、腫れなどの口腔内の症状です。また、くしゃみ、鼻みずなどが出やすくなります。これらの症状は、治療開始直後に多く、治療開始から1ヵ月程度までに集中します。副反応の多くは、短時間で改善し、1週間程度たつと出にくくなります。その他、胃腸の重み、眼や耳の痒みなどもみられます。口の中の腫れは長引いたりすることがあるため、その場合はそちらの治療も行います。
- シダトレンは処方してくれますか?
- 当院では行っておりません。